近隣の日帰り温泉
Day-trip hot springs nearby kiyosato
清里から
このページで紹介している温泉施設は、清里に遊びに来た人や、滞在している人が観光を兼ねたり、温泉目的で気軽に行ける距離にある日帰り利用できる温泉施設を紹介しています。
ここでの評価紹介基準は、源泉での分析表の数字に加え、実際に入ってみての感覚を合わせたものを元としています。
それぞれの施設名をクリックすると泉質などの詳細ページに遷移します。
一般的な温泉ガイドでは泉質名のほか、食事やサウナ、ドライヤーなどで紹介しますが、ここでは湯船のお湯のみでの紹介になります。
長 野 県
山 梨 県
長 野 県
八峰の湯(小海町)
自家源泉のナトリウム・マグネシウム・カルシウム―炭酸水素塩泉。
いわゆる重曹系の「美肌の湯」です。
炭酸水素イオンによる肌の洗浄作用と、メタケイ酸による整肌作用が合わさり、
入浴後はさっぱりしつつも肌が落ち着くタイプのお湯です。
香りやクセはほとんどなく、ヌルヌル感も控えめで入りやすい浴感。
施設では循環ろ過や加温によって衛生的に管理されており、刺激がやわらげられているため、
長湯しても湯あたりしにくく、日常使いしやすいのが特徴です。
一見マイルドなお湯ですが、もともとの成分はしっかりしており、
浴槽まわりに見られる析出物からも温泉らしさは健在。穏やかな中に、
しっかりとした働きを感じられるバランスの良い温泉です。
こんな人向け:
・温泉に慣れていない人、刺激の強い湯が苦手な人
・長くゆっくり浸かってリフレッシュしたい人
・肌をさっぱり整えつつ、乾燥は避けたい人
・日常的に通える“ちょうどいい温泉”を探している人
◎ちょっと突っ込んだご紹介
自家源泉のナトリウム・マグネシウム・カルシウム―炭酸水素塩泉。
炭酸水素イオン(約1000mg)を主軸に、Na・Ca・Mgがバランス良く共存し、
さらにメタケイ酸(約228mg)を多く含む整肌寄りの成分構成。
pHは中性域で強いアルカリ性は示さないため顕著なヌル感は出にくいが、
炭酸水素塩による皮脂乳化とシリカの作用により、入浴後は軽い洗浄感と肌の落ち着きが両立するタイプ。
本来は微細なCO₂挙動も関与しうる組成だが、循環・加温環境下では視覚的な泡付きは抑えられている。
一方で、湯口や浴槽周辺に見られる微細な析出(炭酸カルシウムおよびシリカ由来と推定)から、
溶存成分の供給と化学平衡が維持されていることが確認でき、
処理後においても泉質の骨格は十分に保持されていると評価できる。
炭酸水素塩泉としては処理耐性が比較的高く、個性のピークは抑えられているものの、
日常使用に適した安定型の“生きている温泉”。
こんな人向け:
・分析表と現地の体感を照らし合わせて楽しみたい人
・強い個性よりも“成分の働き”をじっくり感じたい人
・循環施設でも泉質の残り方を見極めたい人
・炭酸水素塩泉+シリカ系のバランス湯が好きな人
ゆーとろん水神の湯(富士見町)
入笠山の麓に湧く、アルカリ性単純硫黄泉。
無色透明で匂いもほとんどなく、一見するとやさしい印象のお湯ですが、
入るとすぐに肌がヌルッとするのが特徴です。
強めのアルカリ性によるクレンジング効果で、肌がすべすべに。
しっかり加温されているため、湯上がり後も体はぽかぽかと温まります。
刺激の強い硫黄臭や濁りはなく、落ち着いて楽しめる一湯。
入浴後はやや乾燥しやすいので、保湿ケアがおすすめです。
こんな人向け
• 肌をさっぱり整えたい人
• 強い硫黄臭が苦手だけど、硫黄泉に興味がある人
• 登山やハイキング帰りにすっきりしたい人
◎ちょっと突っ込んだご紹介
pH10.3の強アルカリ性単純硫黄泉。
溶存物質量は少なめの低張性で、塩化物のコーティング感はほぼなし。
入浴直後はアルカリによる明確なヌルヌル感が立ち、時間の経過とともに一瞬ギシギシ感が現れ、
再びヌル感へ戻る“揺らぎ”が面白い。
硫化水素は控えめで、加温の影響もあり野性味は穏やか。
湯口の析出は薄く、無色透明。
源泉の個性は「硫黄」よりも「アルカリの輪郭」にある。
温まりは主に加温によるものと感じられ、塩化物による皮膜感は乏しいため、湯上がりは乾燥しやすい。
攻めのアルカリクレンジング湯、といった印象。
こんな人向け
• 強アルカリの作用を体感したい人
• ヌル→ギシ→ヌルの変化を楽しめる人
• 野性味よりも、成分の“作用”を観察したい温泉好き
★入口に触れられる源泉があり、ここでこの湯の本来の個性がわかる。
しっかりとした硫黄の匂いと、強いヌルヌル感。浴槽とはひと味違う“素顔”に出会える。
本沢温泉雲上の湯(南牧村)
八ヶ岳硫黄岳直下、日本最高所にある野天風呂。
分析表など見るまでもなく、湯の白濁具合や立ちのぼる匂いから、硫黄成分の濃さは一目瞭然だ。
八ヶ岳山麓には温泉が数多く点在しているが、
これほどまでに「ザ・硫黄泉」と言える湯は他に思い当たらない。
それほど強烈な泉質でありながら、野天という環境のおかげで硫黄臭がこもらないのは、
硫黄泉好きにとってもありがたいところだ。
場所が場所だけに、夏場でも湯に入る前、服を脱ぐとひんやりとした寒さを感じることがある。
しかし一度浸かってしまえば、身体の芯からじわじわと温まっていくのがはっきり分かる。
湯から上がり、服を着る頃には寒さなどすっかり忘れ、
ポカポカとした温もりと深いリラックス感に包まれる。野天ならではの開放感に加え、
高所特有の気温や気圧も相まって、サウナで言うところの「整う」に近い、多幸感すら覚える。
ここを訪れる人は、登山の途中で立ち寄る人か、この温泉そのものを目的にやって来る人がほとんどだろう。
駐車可能な地点からは急坂もなく、軽い登山・トレッキングの感覚で1時間半から2時間ほど歩けば辿り着ける。
山慣れしていない温泉好きであっても、十分に訪れる価値のある一湯だ。
◎ちょっと突っ込んだご紹介
八ヶ岳硫黄岳直下、日本最高所にある野天風呂。
白濁した湯色と明確な硫黄臭から分かる通り、本泉は硫化水素を主体とした火山性ガスの影響が
極めて強い温泉である。
泉質は含硫黄-カルシウム・マグネシウム-硫酸塩温泉。陰イオンの大半を硫酸イオンが占め、
炭酸水素成分はほとんど見られない構成で、いわゆる「ヌルヌル系」ではない。pHは弱酸性寄りで、
入浴初期にはわずかな刺激を感じるが、これは硫化水素と酸性寄りの水質によるものだ。
溶存ガス量が多く、浴中には細かな泡付きが見られる。これは炭酸ではなく、
主に硫化水素および随伴ガスによるもので、末梢血管の拡張と血流促進が非常に分かりやすい。
入浴中から身体の深部が温まっていく感覚があり、硫酸塩泉特有の持続性のある温感が湯上がり後まで続く。
標高の高さゆえ、夏季であっても外気は低く、入浴前後は寒さを感じやすい環境にある。
しかし湯から上がった後に湯冷めしにくいのは、表面を覆う塩分や湯膜によるものではなく、
血流改善による“内側からの保温”が支配的であるためだ。この点は成分構成を見ても納得がいく。
また、これほど硫黄成分が強いにもかかわらず、硫黄臭が重たく感じられないのは野天という開放環境ゆえ。
揮発成分が適度に放散され、刺激と快適性のバランスが極めて良い状態で成立している。
屋内浴槽や循環条件下では再現が難しいタイプの湯だ。
野天の開放感、高所特有の気圧・気温、そして硫化水素による血管拡張作用が重なり、
入浴後にはサウナで言うところの「整う」に近い多幸感が得られる。ただしこれは演出ではなく、
泉質と環境条件が噛み合った結果としての生理反応だろう。
アクセスは容易とは言えないが、駐車地点からは急登もなく、1時間半から2時間ほどの軽登山で到達できる。
硫黄泉が好き、硫化水素の効きが分かる、分析表を見てニヤリとする——そんな人にとっては、
日本でも屈指の完成度を誇る野天硫黄泉である。
小斉の湯(茅野市蓼科)
三室源泉を引く、蓼科を代表する酸性泉。
pH3.3という数字だけ聞くとかなり強そうですが、実際に入ってみると驚くほどやわらかい。
ピリピリする刺激はほとんどなく、ヌルヌル感もなし。
さっぱりとした入り心地で、長く浸かっても湯疲れしにくいのが印象的です。
ほんのりと硫黄を感じるものの、匂いは控えめ。
強い個性を主張するというより、“静かに効いてくる”タイプのお湯。
そして何より、湯上がりの温まり方が素晴らしい。
ゆっくりじんわりというより、体の芯から一気に熱が立ち上がる感覚。
外に出た瞬間に「おっ」と思うほどのポカポカ感が続きます。
寒い季節には特にありがたい存在。
蓼科周辺には同じ三室源泉を使う施設がいくつかありますが、小斎の湯は源泉に近く、
加水や循環をしていないかけ流し。
そのため、お湯本来の力をそのまま楽しめるのも魅力です。
強そうに見えて、実はやさしい。
でも芯はしっかりしている。
そんなギャップが楽しい一湯です。
◎ちょっと突っ込んだご紹介
pH3.3。
長野県内でもトップクラスの酸性度を持つ、
酸性―含硫黄―ナトリウム・塩化物・硫酸塩泉(硫化水素型)。
陽イオンはNa⁺が主体(約332mg)。
陰イオンはCl⁻約483mg、SO₄²⁻約339mgと拮抗し、酸性泉でありながら
塩化物・硫酸塩の骨格がしっかりしているのが特徴。
H⁺は1.3mg。数値としては強烈だが、総溶存量は約1,620mg/kgと“暴力的”な濃さではない。
このバランスが、体感の穏やかさを生んでいる。
硫化水素は溶存2.8mg。
含硫黄泉ではあるが、鼻を刺すような強烈な硫黄臭はない。
これは硫化水素量が突出して多いわけではないこと、
さらに源泉から近く鮮度が保たれていることが関係しているだろう。
浴感はヌルヌル感なし。
アルカリ性のような角質溶解ではなく、酸性泉らしい軽い引き締め方向。しかし刺激は穏やか。
これはH⁺が強い一方で、Na-Cl・Na-SO₄系の構成がクッションになっているためと考えられる。
そして湯上がり。
ここが最大の個性。
Cl⁻約483mgという塩化物の皮膜形成効果、SO₄²⁻の血管拡張作用、さらにCO₂約143mgの存在。
これらが重なり、湯上がり直後に一気に体温が立ち上がる。
“じんわり”ではなく、“ドンと来る”タイプのポカポカ感。だが重苦しさはない。キレがいい。
三室源泉の配湯を受ける施設は蓼科に多いが、小斎の湯は源泉至近、
加水なし・循環なしのかけ流し。
酸性泉は空気接触や加水で個性が鈍りやすいが、
ここでは分析表に近い状態をそのまま体感できる。
強酸性というスペックの鋭さと、実際の入りやすさ。
刺激よりも構造美で魅せる、理詰めで気持ちいい酸性泉。
音無の湯(茅野市北山)
蓼科にある、三室源泉ではなく自家源泉を使用した温泉。
内湯は循環、露天は源泉かけ流しで楽しめる。
匂いはほとんどなく、肌触りも強いヌルヌル感は感じないが、
典型的な重曹泉らしいさっぱりとした入り心地。
皮脂汚れを落とす“クレンジングの湯”と呼ばれるタイプで、
湯上がりは軽く、美肌の湯として親しまれそうだ。
湯船に浸かっていると、細かな泡が身体に付くのも印象的。
強い刺激はなくクセも少ないため、長湯しやすく、年齢や好みを問わず楽しめる万人向けの温泉と言える。
一方で、湯上がりには少し肌が乾燥するような感覚もあり、これも重曹泉らしい特徴のひとつ。
全体として派手さはないが、成分の良さを素直に味わえる、使い勝手の良いお湯だ。
美肌成分として知られるメタケイ酸も適度に含まれており、
さっぱりしながらも肌が整うような湯上がり感がある。
湯上がりはさっぱりとしていて、肌の汚れが落ちた感じがはっきり分かる。
入浴後のケアを前提にすると、より心地よさが引き立つ。
◎ちょっと突っ込んだご紹介
蓼科エリアにありながら三室源泉ではなく、自家源泉を使用している点がまず興味深い。
内湯は循環、露天は源泉かけ流しという使い分け。
分析表を見ると、炭酸水素イオンが豊富な典型的な重曹泉。
ヌルヌル感は控えめだが、皮脂を落とすクレンジング作用はしっかり感じられ、
メタケイ酸の含有量から見ても美容向きの湯質と言える。
入浴中、浴槽内では細かな泡が立ち、身体にも泡が付着する。
遊離二酸化炭素の数値自体は多くないため、いわゆる炭酸泉ではないが、
重曹成分を含む湯を勢いよく注ぐことで、炭酸水素イオンが分解し、
微細な炭酸ガスが現れていると考えられる。
成分特性を理解したうえで、視覚的・体感的な魅力を引き出している設計がうかがえる。
湯上がりはさっぱりとしている一方、やや肌のつっぱりや乾燥感を覚えるのも重曹泉らしいところ。
強い個性やクセはなく、長湯や繰り返しの入浴にも向いた、完成度の高いアルカリ性単純温泉だ。
メタケイ酸は71mg/kgと突出して多いわけではないが、
重曹泉の洗浄作用を補うには十分な量で、美容寄りの性格を支えている。
ツッパリ感や乾燥感はあるが、それ以上に角質が一段リセットされるようなクレンジング感が明確。
重曹泉の中でも、作用点がはっきりしたタイプ。
渋御殿湯(茅野市北山)
奥蓼科の森の中にひっそりと湧く渋御殿湯。
ここの源泉浴槽は、最初は透明に見えるのに、人が入るとふわっと白く濁る不思議なお湯。
静かに湯口を見ていると、小さな泡が生まれては消え、
まるで生きているように感じられます。
冷たい源泉にゆっくり浸かっていると、最初の冷たさが次第に心地よさに変わり、
体がすっと軽くなる感覚。お湯の粒子が肌に触れる感じもあり、入浴後は肌がさっぱりと整います。
奥蓼科らしい素朴な温泉で、派手さはないけれど、自然のままの湯の表情をじっくり楽しめる一湯です。
こんな人におすすめ
• 温泉の「自然のままの感じ」を楽しみたい人
• 源泉そのものの体験をしてみたい人
• 森の静かな温泉が好きな人
• 冷泉や交互浴が好きな人
◎ちょっと突っ込んだご紹介
奥蓼科の森の奥、標高の高い山あいにひっそりと佇む一軒宿、渋御殿湯。
ここでぜひ体験したいのが、冷たい源泉浴槽です。
湯は最初、驚くほど透明。しかし人が入ると、底に沈んでいた微細な成分がふわりと舞い上がり、
やがて浴槽全体がやさしく白く霞んできます。浴槽の縁や水際には白い析出物が付き、
湯の中で成分が生きていることがよく分かります。
その様子は、まるで瓶内発酵のうすにごり日本酒。
静かに置かれた瓶は澄んでいるのに、少し揺らすと澱が舞い、
白く霞む。渋御殿湯の源泉も、まさにそんな表情を見せます。
湯口を見つめていると、小さな泡が静かに生まれては消えていきます。
源泉に含まれる遊離二酸化炭素がわずかに顔を出す瞬間です。
口に含むと、どこかクエン酸を思わせる酸味。山の地下で長い時間を過ごした水の個性が感じられます。
源泉は冷たいものの、数分浸かっていると体が慣れ、冷たさの奥に不思議な心地よさが現れてきます。
湯の粒子が肌に触れる感覚もあり、自然の温泉に包まれているような時間が流れます。
加温された循環浴槽では、同じ源泉でも少し刺激のある浴感に変わり、
湯の性格の違いを体で比べられるのも面白いところ。
派手さはないけれど、観察するほど味わい深い、奥蓼科らしい山の湯です。
こんな人におすすめ
• 冷鉱泉や源泉浴槽にじっくり浸かるのが好きな人
• 温泉の泡や析出物など“湯の表情”を見るのが好きな人
• 炭酸や酸味のある個性的な温泉が好きな人
• 静かな山の温泉で、自然の湯をそのまま味わいたい人
天狗温泉 浅間山荘(小諸市)
浅間山の山懐、森の中にひっそりと湧く赤褐色の湯。
浴槽は底が見えないほどのオレンジブラウン。よく見ると、
お湯の中には細かなもやが舞い、床には砂のような沈殿が残る。
鉄分が空気に触れて変化する、生きた温泉だ。
湯口から出た瞬間はほぼ透明。それが時間とともに色づき、やがて濃厚な茶色へ。
まるで地中の水が地上に順応していく過程を見ているかのよう。
湯ざわりはややギシッと硬質。弱酸性のきりっとした感触で、
湯上がりは一瞬「あちぃ」と感じるほど。
少しすると、体の奥からじんわりとした温もりが広がり、それが長く続く。
加温のみとは思えないほど個性を残した鉄泉。
素朴で力強い、山の湯。
こんな人におすすめ
• 透明なお湯では物足りない人
• 温泉の色や変化を楽しみたい人
• 芯から温まりたい冬派の温泉好き
• 山の静かな宿でゆっくり過ごしたい人
◎ちょっと突っ込んだご紹介
単純鉄(II)冷鉱泉(低張性・弱酸性)。
Fe²⁺約48mg/kg、遊離CO₂約743mg/kgを含む、ポテンシャルの高い鉄泉。
源泉は無色透明。浴槽内で空気と接触し、鉄(II)が酸化して水酸化鉄となり、
濃厚な赤褐色へ変化する。
浴中に舞うもや状の浮遊物、床に沈殿する砂状の酸化鉄はその証拠だ。
pH5.7の弱酸性と鉄分の作用により、湯ざわりはややギシギシ。
皮脂を引き締める感覚があり、顔には軽い収斂感。
加温により炭酸の泡付きはほぼ感じられないが、血管拡張作用の名残か、
湯上がりは体内からの持続的な温まりが顕著。
ろ過で個性を削らず、加温のみで営業している点も評価できる。
鉄泉本来の“変化”を体感できる、貴重な存在。
こんな人におすすめ
• 鉄泉の酸化変化を観察したい人
• 濁り・沈殿・匂いまで含めて楽しめる人
• アルカリのヌルヌルより、引き締まる湯が好きな人
• 炭酸泉のポテンシャルを想像しながら入れる玄人
別所温泉 大師の湯(上田市)
別所温泉の中でも、源泉かけ流しでお湯の個性をしっかり楽しめる一湯。
浴場に入る前からほんのりと硫黄の香りが漂い、期待感を高めてくれる。
お湯は無色透明ながら、入ればすぐにわかるやわらかな硫黄の気配。
肌あたりは最初に少しヌルッとし、その後はサラリとした感触へと変化するのが特徴的。
強すぎないアルカリ性の働きで、肌をやさしく整えてくれる。
温度はやや高めだが、熱さが残りすぎることはなく、
入浴後はすっきりとした爽やかさと、じんわりとした温かさが続く心地よい仕上がり。
派手さはないが、毎日でも入りたくなるようなバランスの良さが魅力の温泉。
こんな人に
• やさしい硫黄の香りを楽しみたい人
• 熱すぎず、疲れにくい温泉を探している人
• 入浴後にスッキリした感覚を重視する人
• 温泉初心者でも入りやすい湯を求めている人
◎ちょっと突っ込んだご紹介
アルカリ性単純温泉(pH9.1・低張性)に、遊離硫化水素をわずかに含む硫黄系のニュアンスを持つ源泉。
3号源泉をかけ流しで使用。
数値的には淡い部類ながら、浴場に入る前から硫黄臭を感じるあたり、
ガスの立ち方は素直で、鮮度の良さがうかがえる。
入浴初期はアルカリによる角質のゆるみで軽いヌル感が出るが、
時間経過とともに硫黄の還元作用や洗浄効果でわずかなギシ感へ移行。
この「ヌル→サラ→軽ギシ」の変化がこの湯の特徴。
溶存物質量は約0.28 g/kgと軽く、保温の主役は塩化物ではなく、温度と硫黄・アルカリによる血流促進。
そのため、しっかり温まるが熱がこもらず、浴後はスッと引いて軽いポカポカだけが残る。
析出は軽く、乾燥後に白く残る程度で、成分の主張はあくまで穏やか。
総じて「効かせて、引く」バランスに優れた一湯。
こんな人に
• 強すぎない硫黄泉をじっくり楽しみたい人
• アルカリのヌル感だけでなく変化を感じたい人
• 長湯しても疲れにくい湯を求める人
• 入浴後の“引き際の良さ”を重視する人
■ 一言で
👉 「やさしく効いて、きれいに引く硫黄アルカリ」
鹿教湯温泉 文殊の湯(上田市)
静かな山あいに湧く鹿教湯温泉は、古くから“体を整える湯”として親しまれてきた湯治場。
その中にある文殊の湯は、派手さはないものの、じんわりと体に効いてくるタイプの温泉です。
お湯は無色透明でクセが少なく、一見すると特徴が薄いように感じますが、
入っているうちに体の芯から温まり、血行が良くなるのを実感できます。
入浴後もぽかぽか感が続き、冷えや疲れがやわらいでいくのが分かるはず。
刺激が強すぎないため長く入りやすく、昔ながらの湯治場として、
多くの人が日々の体調を整える目的で訪れてきました。
■ どんな人におすすめ?
• 慢性的な肩こり・腰痛がある人
• 冷え性や疲れが抜けにくい人
• リハビリや体力回復中の人
• 強い温泉が苦手で、やさしく整えたい人
派手さより「じっくり整う感覚」を求める人にぴったりの温泉です。
◎ちょっと突っ込んだご紹介
鹿教湯の本質を素直に体現している一湯。文殊の湯は、
単純温泉(低張性・弱アルカリ性・高温泉)というスペックながら、
実態はカルシウム‐硫酸塩寄りのドライな性格を持つ。
Clは弱く、HCO₃⁻も控えめ。そのためヌルつきやコーティング感はほぼ出ず、
入浴中からわずかに皮脂を持っていくギシギシ系の収れん感が持続する。
一方でSO₄²⁻がしっかり効いており、温熱と相まって血流をじわじわ押し上げる。
炭酸のような派手さはないが、四肢や体幹に現れる赤みは確かな反応。
析出は白色のモクモクした塊状。炭酸カルシウム〜硫酸カルシウム系の沈着で、
湯の性格をよく物語っている。
運用は循環・消毒ありでエッジは丸められているが、それでもなお“削る側の個性”は残存。
源泉かけ流しであれば、よりシャープな収れんと白華の発達が見られるはず。
この湯の本質は一発のインパクトではなく、低刺激×反復で効かせる設計。
まさに湯治場の王道。
■ どんな人に刺さる?
• 運動器系の慢性不調(腰痛・関節痛・筋緊張)
• 回復期リハビリ(負荷をかけずに血流を上げたい)
• なんとなく不調な“未病状態”の底上げ
• ベタつきのないサッパリした湯が好きな人
■ ハマらない人
• 硫黄・泡付きなどの強烈個性を求める人
• ツルヌル系アルカリ泉が好きな人
一言で
「静かに削って、静かに整える湯治の湯」
毒沢鉱泉 神の湯(下諏訪)
• 泉 質:含鉄(Ⅱ)-アルミニウム-硫酸塩冷鉱泉(酸性低張性冷鉱ph2.5)
• 泉 温:10℃
源泉温度が低いため、加温、未加水、循環併用式、未消毒で利用している。
循環の理由は、湧出量が少ないのと加温する為。 大きな浴槽のお湯は40~42℃くらい。
自家源泉と毒沢鉱泉湯元会(宮乃湯、神乃湯、沢乃湯)で所有している共同源泉を
2つ利用しているとのことだが、浴槽には、共同源泉のみ利用している
山あいにひっそりと湧く、ちょっと個性的な一湯。
浴槽はふたつあり、広めの温かいお風呂と、ひとり用サイズの冷たい源泉風呂が楽しめます。
この温泉の特徴は、鉄分と酸性成分を多く含むお湯。
大きな浴槽はほんのりベージュに濁り、浴槽の縁や床には赤茶色の成分が付着していて、
温泉らしい風情を感じさせてくれます。
口に含むとほんのり酸っぱく、少し渋みのある独特の味。
これは鉄やアルミニウム、硫酸塩などが溶け込んでいる証拠です。
入ってみると、肌がキュッと引き締まるような感触がありつつ、
体の内側からじんわり温まってくる不思議な感覚。
特に源泉の冷たいお風呂は最初こそ驚く冷たさですが、
じっと浸かっていると次第にポカポカしてきて、思わずクセになります。
温かいお風呂と冷たい源泉を行き来することで、より一層リフレッシュ。
お風呂上がりはさっぱりとした爽快感と、じんわり続く温かさが印象的です。
■ こんな人におすすめ
• さっぱり系・引き締まるお湯が好きな人
• 温泉でしっかりリフレッシュしたい人
• 温冷交代浴を楽しみたい人
• ちょっと個性のある温泉を体験してみたい人
「リセット系・引き締め美肌」
◎ちょっと突っ込んだご紹介
pH2.5の酸性・含鉄(Ⅱ)・アルミニウム・硫酸塩冷鉱泉。
この時点で“効く系”確定の構成。
まず源泉は無色透明。
しかし空気に触れた瞬間、鉄(Ⅱ)が酸化して鉄(Ⅲ)へと変わり、浴槽全体が赤茶色に染まる。
この「無色→発色」の変化がしっかり見えるのは、湯の鮮度がまだ生きている証拠。
浴感は明確に収れん系。
酸性+アルミニウムによるタンパク変性で、肌はギシギシと引き締まる。
しかもこの感覚、小浴槽(源泉)ではより顕著。
=加温・循環によるマイルド化がはっきり体感できる構成。
湯口付近のわずかな発泡は、おそらく溶存ガスの離脱によるもの。
ただし付着レベルには至らず、あくまで“アクセント”。
面白いのは温まり方。
表面は締まるのに、内部はしっかり温まる。
硫酸塩の持つ持続的な保温感に、酸性刺激による血管反応が重なる。
そしてこの湯の真価は交互浴で爆発する。
冷たい源泉(約10℃)で一度締め、加温浴で開く。
これを繰り返すことで血流が一気に活性化し、
「出たくなくなる中毒性」が完成する。
浴後は鉄分の付着により、指先や爪周りからしっかりとした金気臭。
さらに軽い突っ張りと引き締まり、そして長く続く内部の温もり。
派手さはないが、構成としてはかなり完成度が高い“通好みの一湯”。
■ こんな人向け
◎ドンピシャ
• 酸性泉・鉄泉・収れん系が好き
• 「効く感」「攻めた浴感」を求める人
• 温冷交代浴をしっかり楽しみたい人
△注意
• 肌が弱い人(pH2.5は普通に攻めてくる)
• ヌルヌル系・美肌系を期待している人
■ 本質
「収れん×鉄×酸の“引き締め温泉”」
山 梨 県
韮崎旭温泉(韮崎市)
敷地内から湧き出る源泉を、加水・加温・循環・消毒を一切行わずに楽しめる、ぜいたくな源泉かけ流し温泉。
お湯はやさしい肌触りで、いわゆる「美人の湯」と呼ばれるタイプです。
湯船に入ると、肌がすべすべするような感触があり、
ほんのりとした鉄の香りに、温泉らしさを感じます。
色はごくわずかに褐色で、自然の成分を含んだお湯ならではの表情。
この温泉の一番の魅力は、細かい泡。
湯口付近では小さな泡が立ち上り、浸かっていると身体が自然と泡に包まれていきます。
見た目にも楽しく、思わず長く入ってしまう心地よさがあります。
湯温はややぬるめで、長湯にぴったり。
のぼせにくく、湯上がりはすっきりしていますが、
しばらくすると体の芯からじんわり温まる感覚が残ります。
温泉好きな方はもちろん、
普段あまり温泉に詳しくない方でも、
「香り」「泡」「入浴後の心地よさ」をしっかり楽しめる、
自然の恵みを感じられるお湯です。
こんな方におすすめ
• 日頃の疲れがなかなか抜けない方
ぬるめで長湯できるお湯なので、身体をゆっくり温めながら疲労回復を促します。
湯上がり後にじわじわと温かさが続くのも特長です。
• ストレスがたまりやすい方、リラックスしたい方
刺激の少ないやさしい湯質と、細かな泡に包まれる感覚が心身を落ち着かせ、
気持ちまでゆるむような入浴が楽しめます。
• 冷えが気になる方
湯上がり後も体が冷めにくく、手足や腰回りまでポカポカ感が持続します。
熱いお湯が苦手な方にもおすすめです。
• 肌の乾燥が気になる方、やさしいお湯を求める方
入浴後のつっぱり感が少なく、しっとりとした肌触りが残ります。
年齢や性別を問わず、安心して楽しめる泉質です。
• 温泉らしさをしっかり感じたい方
ほのかな香りと、自然由来の成分による湯色、
そして身体を包む細かな泡など、源泉かけ流しならではの魅力を味わえます。
◎ちょっと突っ込んだご紹介
住宅地のすぐ近くにある地元の人の共同浴場。
敷地内湧出の源泉を、加水・循環濾過・加温・消毒すべてなしで使用する、純度の高い源泉かけ流し温泉。
泉質はナトリウム―塩化物・炭酸水素塩泉(低張性・弱アルカリ性)で、いわゆる地下水型の重曹泉。
「美人の湯」と呼ばれることも多い、肌あたりのやさしいお湯。
炭酸水素イオンを主体に、塩化物イオンがほどよく含まれており、
肌をやわらかく整える重曹泉らしいつるりとした感触と、
表面をコーティングするような保湿・保温効果をあわせ持つ。
加えてマグネシウム、カルシウム、硫酸イオンも含まれ、
単調になりがちな地下水型の中では、成分的にもバランスの良い構成。
湯温は全体的にやや低め。
湯口付近は心地よい温かさだが、浴槽の端ではぬるめに感じられ、自然と長湯になる。
湯色はごく淡い褐色で、地下に眠っていた植物由来成分によるモール系の特徴がわずかに見られる。
肌触りは軽いヌルヌル感。
分析表の数値以上に鉄の匂いがはっきり感じられ、
そこにかすかな硫黄臭が混じることで、温泉らしさは十分。
そして最大の特徴が泡付き。
湯口付近では小さな泡が立ち上るのが目に見え、
実際に浸かっていると、身体がみるみる細かな泡に包まれていく。
派手さはないが、体感としてはかなり面白く、思わず時間を忘れてしまう。
長く浸かっても不思議とのぼせ感は少なく、
上がってしばらくすると、じわじわとした芯からのポカポカ感がやってくる。
温泉好き・マニアはもちろん、
詳しくない人でも「匂い」「泡」「入浴後の感覚」という分かりやすい魅力を楽しめる、
完成度の高い一湯だ。
玉川温泉(甲斐市)
ドバドバとかけ流されるお湯に、まず圧倒される。
床を歩けばバシャバシャと水しぶきが立つほどの湯量。これだけでも来る価値がある。
お湯はほんのり褐色がかった透明。見た目は穏やかだが、
入るとすぐに「ただのお湯じゃない」と分かる。
最初は少しギシッとした感触。けれど、しばらくすると細かい泡が肌を包み、
やがてヌルっとしたやさしい肌触りへと変わっていく。
この変化の正体は、炭酸ガスと炭酸水素イオン、そしてナトリウム成分。
さらに塩分もほどよく含まれていて、湯上がり後はじんわりとした温かさが長く続く。
鉄分も感じられ、ほんのりとした鉄の香りが“温泉らしさ”をしっかり演出。
それでいてお湯は濁らず透明なのは、絶えず新しい湯に入れ替わっているから。
◎ 見た目以上に“中身が濃い”一湯。
■こんな人におすすめ
• かけ流しの迫力を体感したい人
• 炭酸泉の泡付きや変化を楽しみたい人
• 入っていて気持ちよく、湯上がりもポカポカしたい人
• 「温泉らしさ(匂い・味)」をしっかり感じたい人
◎ちょっと突っ込んだご紹介
この湯の本質は、「不安定な成分を不安定なまま浴槽に成立させている」点にある。
泉質はナトリウム-塩化物・炭酸水素塩系を軸に、遊離二酸化炭素と微量の鉄を含む複合型。
数値上は突出した特徴があるわけではないが、実際の体感はそれを大きく上回る。
まず注目すべきは遊離CO₂(約40 mg/kg)。
加圧投入される小浴槽ではこれが一気に開放され、白濁と泡付きとして視覚・触覚に現れる。
一方で大浴槽では比較的静かに供給され、炭酸は感じつつも透明を保つという対照的な表現になる。
鉄についても同様で、含有量は控えめながら明確な鉄臭と味を持つ。
これは高回転のかけ流しにより、Fe²⁺の状態が酸化前のまま浴槽に維持されているため。
通常であれば酸化し褐色化・沈殿するところを、“時間を与えない”ことで成立させている。
浴感は三段階に分かれる
• 初期:塩化物による軽い収斂・ギシ感
• 中盤:CO₂微細泡による擬似的なヌル感
• 後半:炭酸水素塩+メタケイ酸による本質的なヌルヌル感
この移行が明確に体感できるのも、成分が“生きている”証拠。
さらに特筆すべきは回転率。
浴槽内での滞留時間が極めて短く、
「酸化(鉄)」と「脱ガス(炭酸)」の両方に打ち勝っている。
この条件が揃うことで、
• 透明なのに鉄を感じる
• 炭酸がしっかり残る
• 塩と重曹の効果も活きる
という、本来両立しにくい要素が同時成立している。
これは“泉質”ではなく“運用と地質の合わせ技”で成立した湯。
■こんな人におすすめ
• 「成分表と体感のズレ」を楽しめる人
• 炭酸・鉄・塩・重曹の相互作用を体で感じたい人
• 鮮度(フレッシュさ)こそが価値だと思う人
• 循環では絶対に再現できない湯を求めている人
■一言でまとめると
「時間を与えないことで完成している温泉」
湯村ホテル(甲府市)
自家源泉で、加水・循環・加温なし、消毒ありのかけ流し。
湯量は決して多くはないが、自家使用で浴槽もさほど大きくないため、
オーバーフローもしっかりしており、新鮮なお湯を楽しめる。
湯温は内湯で42℃前後と程よく、気持ちよく浸かれる温度。
浴感はヌルヌル感こそ少ないものの、浸かっていると身体に細かな泡がまとわりついてくる。
浴槽内では匂いはあまり感じられないが、飲泉を口に含むと硫黄臭と塩味がはっきりと分かる。
成分的には保温効果や血行促進が期待でき、湯上がり後もポカポカ感が続く。
また、疲労回復やストレス緩和の効果もあり、心身ともにリラックスできるお湯だ。
露天風呂はあるものの小さく、内湯・露天ともに眺望はあまり良くない。
休憩所などの設備もないため、日帰り入浴施設としては敬遠する人もいるかもしれない。
しかし、この地域本来の湯を味わうという点では、間違いなくおすすめできる一湯。
実際に入ってみれば、そうしたデメリットなど気にならなくなるほど、
“生きているお湯”をしっかりと楽しめる。
◎ちょっと突っ込んだご紹介
自家源泉で、加水・加温・循環なし、消毒ありのかけ流し。
湯量は多くはないものの、浴槽規模とのバランスがよく、
常に新鮮な源泉がオーバーフローしている。
泉温は45.8℃。内湯では42℃前後に調整されており、じっくり浸かれる絶妙な温度設定。
浴感はアルカリ性ながらヌルヌル感は控えめで、
代わりに湯中で身体に細かな泡が付くのが分かる。
主成分はナトリウム・カルシウムの塩化物・硫酸塩系。
塩分による保温効果に加え、硫酸塩の作用で湯上がりはさっぱりしつつも、
芯から温まるタイプだ。
浴槽内では匂いは穏やかだが、飲泉でははっきりとした塩味と硫黄臭が感じられ、
ガス感を伴う“生きた源泉”であることがよく分かる。
炭酸ガス量は突出して多いわけではないが、循環をかけず源泉を新鮮な状態で使っているため、
泡付きとして体感に現れているのだろう。
派手さはないが、血行促進や疲労回復、ストレス緩和といった基本性能は非常に高い。
露天風呂は小さく、眺望や設備面は正直言って期待しない方がいい。
だが、それらを承知のうえで訪れる価値は十分にある。
この地域の“素の湯”を、余計な演出なしで味わえる、分かる人向けの一湯だ。
石笛の湯(笛吹市)
ぶどう畑から温泉が噴き出したことで始まった石和温泉。
その原風景を思わせるような、源泉かけ流しの素朴な湯を味わえる共同浴場が石笛の湯です。
お湯は無色透明で強い香りもなく、一見するととてもおとなしい印象。
しかし湯に身を沈めると、体に細かな泡が付き、じんわりと血流が巡る感覚。
成分は刺激の強いタイプではないものの、
カルシウムや微量のガス成分を含む新鮮な源泉が絶えず流れ込み、
やさしい入り心地の中に温泉らしい力を感じさせます。
露天風呂では大量の源泉があふれ、浴槽の縁から流れ出るお湯の量に思わず驚くほど。
派手さはないけれど、石和温泉の昔ながらの湯を感じさせる一湯です。
湯上がりは穏やかなのに、体の奥からじんわり続く温かさ。
気づけば「また入りたい」と思わせる、そんな温泉です。
こんな人におすすめ
• 石和温泉で源泉かけ流しを体験したい
• 強い硫黄泉などが苦手
• やさしく体が温まる湯が好き
• 温泉本来の自然な湯を味わいたい
◎ちょっと突っ込んだご紹介
ホテルの大浴場が多い石和温泉の中で、珍しい完全源泉かけ流しの共同浴場。
源泉は約148L/分の湧出量を持つ単純温泉。
無色透明で香りも弱く、一見すると非常におとなしい湯だが、
実際に浸かると体に丸い気泡が付き、微細なガスの存在を感じる。
特に露天では新湯の投入量が多く、浴槽からあふれ出すほどのオーバーフロー。
この新鮮な源泉の流れによって、単純泉ながら生きた湯の感触が保たれている。
成分的には強烈な個性はないが、
カルシウムなどのミネラルを含む低張性の湯で、
肌には軽いきしみとわずかなヌル感が現れる程度。
それでも入浴していると血流が促され、皮膚の薄い部分に毛細血管の反応が現れ、
湯上がりには穏やかながら持続する温まり方。
派手な硫黄泉や濃厚な塩化物泉とは違うが、
新鮮な源泉の力を静かに感じさせる“出汁系の湯”。
石和温泉がまだ「青空温泉」と呼ばれていた頃の、
素朴な温泉風景を思わせる一湯でもある。
こんな人におすすめ
• 源泉かけ流しの新鮮な湯が好き
• 単純泉の奥深さを感じたい
• 石和温泉の原点に近い湯を体験したい
• 派手さより湯の質を楽しみたい
みたまの湯(市川三郷町)
ほんのりと色のついたお湯で、湯船に浸かると肌にやさしくなじむ感じがあります。
触れると少しだけとろみがあり、つるっとした入り心地。
湯上がりは肌が乾きにくく、じんわりと体の芯が温まる感覚が続きますが、
重たさは残らず、すっきりとした後味です。
香りもごく控えめで、自然のお湯らしい雰囲気。
刺激が少ないので、長湯もしやすく、
何度でも入りたくなるお湯です。
冷えやすい季節には特に心地よく、
年齢や体調を問わず、多くの方におすすめできます。
◎ちょっと突っ込んだご紹介
アルカリ性単純泉。
加水なし、循環・加温あり。源泉は敷地内。
溶存物質量は多くないものの、単純泉としてはナトリウム・塩化物が比較的効いており、
入浴後は保湿感と穏やかなポカポカ感が残る。
炭酸水素イオンもわずかに含まれているため、
湯上がりは重くなりすぎず、軽さも感じられる。
弱アルカリ性と微量の塩分、さらに植物由来の有機物(モール系)の影響により、
肌触りはややヌルッとし、皮膚を清潔に保ちやすい印象。
湯は褐色で、いわゆる“コーラ色”。わずかな匂いもあり、
地下水型単純泉ながら個性ははっきりしている。
循環ありではあるが、源泉が近く素材が良いため、泉質の良さはしっかり残っている。
刺激が少なく、入る人を選ばないお湯で、
特に寒い季節には心地よさが際立つ。
下部温泉下部ホテル(身延町)
同じ場所で、違う湯に出会う。源泉の個性を活かした温泉体験。
三源泉を、四つの浴槽で味わい分ける
下部温泉・下部ホテルは、館内で3つの源泉を楽しめる温泉。
どのお湯もクセが少なく、やさしい湯あたりで、長湯や湯めぐりにぴったり。
共同泉は、ほとんどクセがなく入りやすいベースのようなお湯。
アルカリ性のやわらかさで肌あたりがよく、ゆっくり何度でも入りたくなる心地よさがある。
しもべ奥の湯(高温源泉)は、ほんのりと硫黄の香りを感じる穏やかな温泉。
強い硫黄が苦手な人でも入りやすく、「温泉らしさ」をやさしく楽しめる一湯。
下部ホテルの硫黄泉は、設備の影響もあって入浴中にふわっと硫黄の香りが立ち、
より温泉らしさを感じやすい。
見た目や体感の変化も楽しく、同じ施設内で違いを味わえるのが魅力。
いずれもアルカリ性のやさしさに加え、硫酸塩成分による保温効果で、湯上がり後はじんわりポカポカ。
派手さはないものの、体にしっかり残る“効きの良さ”を感じられる温泉。
こんな人におすすめ
・刺激の強い温泉が苦手な人
・ゆっくり長湯したい人 ・湯冷めしにくい温泉を探している人
・いろいろなお湯を入り比べたい人
・家族や初心者でも安心して入れる温泉を探している人
◎ちょっと突っ込んだご紹介
下部ホテルは、共同泉・奥の湯(高温源泉)・硫黄泉と、性格の異なる3源泉を
浴槽ごとに使い分けているのが特徴。
いずれもベースはアルカリ性単純温泉で、Na–Ca–SO₄系寄りの構成。
pHは高めだが、いわゆる強いヌルヌル感は控えめで、肌あたりはあくまで軽やか。
共同泉は、成分的にも体感的にも“基準点”となる存在。
クセの少ないクリアな湯で、アルカリによる軽い角質作用と、
硫酸塩による保温感がバランスよく出る。長時間の入浴でも疲れにくい。
奥の湯(高温源泉)は、微量の硫化水素由来と思われるごく穏やかな硫黄臭。
硫黄泉としてはかなりライトだが、その分、アルカリ+硫酸塩のベースに「香りのニュアンス」が乗る形で、
温泉らしさを無理なく感じられる。
硫黄泉の浴槽は、数値上は強い硫黄泉ではないものの、
攪拌や気泡、空気接触によって硫黄の香りが立ちやすく、体感的な温泉感が強調される。
いわば“演出込みで仕上がった湯”で、分析表以上の印象を受けやすいのが面白いところ。
総じて、派手な個性や強烈な成分ではなく、
アルカリのやわらかさ+硫酸塩の持続的な保温力を軸にした「じわ効き系」。
その上に、源泉ごとのわずかな差と設備の使い方で表情を変えている。
こんな人におすすめ
・強い成分よりも“入り続けられる湯”を重視する人
・アルカリ性のやさしさと硫酸塩の効きを両方楽しみたい人
・微妙な香りや体感の違いをじっくり味わいたい人
・源泉×設備での“見せ方の違い”に面白さを感じる人
・湯治的な使い方(反復入浴)をしたい人

